[コラム]
2017年04月14日
コラム【遺品整理について考える】
お世話になります。
実例を用いて遺品整理についてあらためて考えます。
事例 45歳男性 家族構成:奥様37歳、娘12歳(享年)
東京都世田谷区にお住まいの男性からのご依頼です。2014年に交通事故で娘を亡くされた方です。
一軒家の2階にある子供部屋の遺品整理のご相談です。故人の私物や愛用品、衣類や教科書等が手つかずのままでした。
4年経過しても、片付ける気が起きない、どうしたらよいか、とお困りでした。
言葉選びに慎重になります。私は子を持つ親の気持ちは分かりませんが、子を失った親を近くで見ています。何年経っても、そのまま手を付けない親を間近で見ています。老いて、身体が思うように動かなくなった時、誰かに頼むのかもしれません。弊社としては、第三者の手を借りず、少しずつご夫婦で整理してはいかがでしょうか、とお伝えしました。
私が鉄などで出来ていれば、「あなたたちは小学生の勉強はしないから、教科書やノートは不用ですね」と提案したでしょう。そう、よぎる事はあっても、即、別の気持ちがそれを否定します。「遺族の気持ちを尊重する」という大事な気持ちです。
なにか後押しする言葉が欲しい方に対しては、遺族の意思を沿う事で生まれた言葉をお伝えします。
衣類が減り、勉強道具が減り、机が無くなり、お写真といくつかの愛用品だけが残るまで、時間はかかると思います。
7月が命日になります。その日にもう一度お邪魔させて頂く事になっています。
この仕事をしていて、実感するのは、形も残らないと思い出も段々忘れていきます。生きた足跡が目に見えないと、少しずつ記憶が風化します。新たな生活に向けて、気持ちを切り替える事は良い事ですが、全員がそうではありません。ゆっくり考え、実行せざるを得ないと自然と気付いた時はご遺族が主導権を持ち、行動するはずです。その日まで、遺品整理業者は待つだけです。このように提案内容はご遺族の思いによって変わります。最善に気付き、変えていく事に重視していきます。当社は遺品「処分」より「整理」に注力します。